IH ガスコンロ 光熱費比較|1回と1年

家電の選び方 公式情報の確認日 最終更新日 公開日 執筆 トムシ

結論

水1Lを1回沸かす試算はIH約3.3円、都市ガスの従量料金なら約2.4円。4人の標準メニューのIHは1か月約1,170円です。

IHクッキングヒーターとガスコンロを、同じ献立で測った光熱費の対は、今回確認した公式資料にはありませんでした。代わりに、条件を固定できる「水1Lを沸かす」場合を1回・1か月・1年に展開し、別に、4人世帯の朝・昼・夕食について公表されているIHの電気代を載せます。確認日は2026年10月27日です。機器の買い替えをすすめる記事ではありません。

湯沸かし専用のケトル・ポット・やかんは電気ケトルと電気ポットの電気代、野菜100gの下ごしらえは電子レンジの電気代で別々に整理しています。そちらの金額は実測で、この記事の逆算とは条件が違います。

比較の前提

  1. 比べる作業は水1Lの加熱:質量1kg、上昇温度83℃。東京電力エナジーパートナーの「くらひろ」(2026年6月4日公開)が置いた条件で、同記事は17℃から100℃としています。17℃の出典リンクは東京都水道局の水温のページです。同ページ(2025年2月13日更新)で本文として確認できたのは、令和5年度・都庁付近の最高29.5℃(7月)と最低8.3℃(2月)までで、年平均17℃という記載はテキスト上は見当たりませんでした。この記事では17℃を水道局の公表値とはせず、上昇83℃だけを計算条件にします
  2. 必要な熱の換算:東京電力と同じく、1kcal=0.001162kWh。都市ガスの発熱量は10,750kcal/m3(東京ガスネットワークが示す13Aの標準熱量45MJ/m3を、同記事が換算した値)。LPガスは同記事の24,000kcal/m3。東京ガスネットワークはプロパンガスの熱量を約100MJとしています
  3. 熱効率:基準の表は、東京電力が「一般的な機種の数値として」仮定したIH90%、ガスコンロ50%です。50%は特定機種の実測ではありません。別表では、パロマがPA-S46BMAの強火力・標準火力とも56.3%(13A・LPガスとも)と公表している熱効率に置き換えます。IHの90%は、パナソニックが鉄・ステンレス対応IHについて、日本電機工業会の自主基準に基づく自社実測(同社標準鍋)で「約90%」としている値と同じ仮定です
  4. 電気の単価は31円/kWh(税込):公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価です。令和4年7月22日改定で、2026年10月27日時点のQ&Aでもこの金額です。燃料費調整や再生可能エネルギー発電促進賦課金の、個別契約の上乗せは入っていません
  5. 都市ガスの単価は2026年10月検針分の従量料金:東京ガスの東京地区等・一般契約。使用量0〜20m3のA表は171.13円/m3、21〜80m3のB表は156.28円/m3(いずれも税込)。経済産業省の電気・ガス料金負担軽減支援事業による14円/m3の値引き後です。基本料金(A表759円/月、B表1,056円/月)は1回の試算に入れていません。給湯などで既にB表の家庭がコンロを1回多く使っても、基本料金は変わらないためです
  6. LPガスは石油情報センターの関東の小売価格:2026年9月30日の速報。10m3で9,254円、20m3で16,273円(基本料金・消費税込み、卸売を除く)。増分単価は(16,273−9,254)÷10=701.9円/m3。10m3の請求を10で割った925.4円/m3は、基本料金を使用量で均した平均です。販売店ごとの料金とは違います
  7. 丸め:1回は小数第2位を四捨五入して小数第1位まで。1か月・1年は、丸める前の1回の金額に回数を掛け、1円未満を四捨五入します。表示した使用量を単価に掛け直すと、1円未満でずれることがあります
  8. 1か月は30回、1年は365回:1日1回、水1Lだけを沸かす仮定です。朝昼夕の調理全体ではありません

自分の契約単価が表と違うときは、あとの「単価を読み替える」の使用量に掛けてください。カタログの目安電気料金が1kWh=27円で計算されていることとの違いは、統一省エネラベルの見方にまとめています。

1回に必要な使用量

水1kgを83℃上げる熱は83kcalです。IHは83×0.001162÷0.90=0.107162kWh。ガスは「83kcal÷発熱量÷熱効率」です。

熱源熱効率1回の使用量(丸める前)
IH90%(仮定)0.107162kWh
都市ガス50%(仮定)0.015442m3
LPガス50%(仮定)0.006917m3
都市ガス56.3%(パロマの公表値)0.013714m3
LPガス56.3%(同上)0.006143m3

56.3%は、パロマPA-S46BMA-R/Lのこんろ部エネルギー消費効率です。区分名はC、2006年度の省エネ基準達成度は100%と仕様にあります。達成度100%で効率が56.3%なので、この区分の基準値も56.3%と読めます。同じ56.3%は、省エネルギーセンターが公開している総合資源エネルギー調査会・ガス・石油機器判断基準小委員会の最終とりまとめ(ガスグリル付こんろ、卓上形、2口以下)の目標基準値でもあります。熱効率の定義は、試験なべの水が得た熱量を、消費したガスの発熱量で割った値です。炒め物や揚げ物の効率ではありません。資源エネルギー庁のトップランナー解説(旧URL)は、2026年10月27日に開いた時点では表示されませんでした。

熱効率90%と50%で計算した1回・1か月・1年

都市ガスの主たる行は、給湯などで月21〜80m3を使う家庭の従量料金(B表)です。コンロだけの使用で月20m3以下ならA表です。東京電力が2026年6月検針の「25m3使用・基本料金込みで199円/m3」として出した3.1円も、同じ使用量で再計算して並べました。

熱源と単価1回30回(1日1回)365回
IH・31円/kWh約3.3円約100円約1,213円
都市ガス・B表156.28円/m3(基本料金別)約2.4円約72円約881円
都市ガス・A表171.13円/m3(基本料金別)約2.6円約79円約965円
都市ガス・199円/m3(2026年6月、基本料金を含んだ平均)約3.1円約92円約1,122円
LPガス・増分701.9円/m3約4.9円約146円約1,772円
LPガス・10m3平均925.4円/m3(基本料金込み)約6.4円約192円約2,336円

この条件では、水1Lを1回沸かす費用は都市ガスの従量料金がいちばん小さく、IHとの差は1回約0.9円(B表)です。1年(365回)では約332円です。LPガスの増分単価と比べると、IHのほうが1回約1.5円、1年で約559円小さくなります。東京電力が基本料金を含んだ199円/m3で出した結論(IH約3.3円、都市ガス約3.1円でほぼ同程度、LPガス約6.0円)は、2026年4月30日時点の関東のLPガス866円/m3と、6月の都市ガス単価を使った参考値です。10月の従量料金だけで見ると、都市ガスとの差は同記事の書き方より広がります。

補助金の14円/m3を戻したB表は170.28円/m3です。同じ0.015442m3だと1回約2.6円、30回約79円、365回約960円で、値引き後より1年で約79円多くなります。値引きは検針月で単価が変わります。

熱効率を56.3%に置き換えた場合

ガス側だけ、パロマが公表している56.3%に変えます。IHは90%のままです。50%の仮定よりガスの使用量が少なくなるため、都市ガスとの差は広がります。

熱源と単価1回30回365回
IH・90%・31円/kWh約3.3円約100円約1,213円
都市ガス・B表・56.3%約2.1円約64円約782円
都市ガス・A表・56.3%約2.3円約70円約857円
LPガス・増分701.9円/m3・56.3%約4.3円約129円約1,574円

56.3%でも、LPガスの増分単価よりIHの1回の金額は小さく、都市ガスの従量料金よりは大きい、という並びは50%のときと同じです。実際の鍋の底の形や火力で、熱効率はこの二つの数字のあいだにも、外にもなります。

試算に入れていない料金

  • ガスの基本料金:2026年10月検針分は、東京地区等の一般契約でA表759円/月、B表1,056円/月です。コンロをIHに替えても、給湯でガスを使い続けるならこの基本料金は残ります。ガス契約そのものをやめる場合の節約は、調理の従量料金とは別の話なので、この記事では計算していません
  • 11月検針分からの基本料金:東京ガスは2026年4月27日に、一般料金などの基本料金を1件あたり150円上げると発表し、適用は2026年11月検針分からとしています。4月27日の資料にある単位料金の新旧(B表で155.94円から155.96円など)は、2026年4月検針分の原料費調整を使った参考で、10月検針の156.28円ではありません
  • 契約アンペア:IHを置くときに契約電流を上げると、電気の基本料金が変わる契約があります。2026年10月27日時点で、上げ幅の円額を料金表で確定しなかったため、表には入れていません
  • 時間帯で単価が変わる電気料金:オール電化向けの夜間単価などで31円より安い時間に使えば、IHの金額は表より小さくなります。契約ごとに違うため、31円のまま示しています
  • グリル:魚を1回焼くガス量と、IHグリルの消費電力量を同じ条件で並べた資料は確認できませんでした。グリル分はこの試算にありません

東京ガスが示す標準家庭(30m3、45MJ/m3)の2026年10月検針の料金は5,744円です。30m3は2018〜2022年度の家庭1件の平均使用量で、給湯などを含みます。上の表の月約72円(水1Lを毎日1回、B表)は、この請求の一部でしかありません。

4人世帯の朝昼夕メニュー(IHの公表値)

パナソニックと東京電力は、同じ文面で次の数字を紹介しています。標準的な4人世帯が、朝・昼・夕食の標準的なメニューでIHクッキングヒーターを使った場合の1か月の電気代は約1,170円(税込)。日本電機工業会・IH調理器技術委員会(東京電力の表記はIHクッキングヒーター専門委員会)の調べで、単価は31円/kWhです。

期間の置き方金額計算
1か月(公表値)約1,170円そのまま
電力量約37.74kWh1,170÷31
1年14,040円1,170×12
1日(30日で割った試算)39円1,170÷30
1食(1日3食と仮定)13円39÷3

1日と1食は、公表文に日数がなかったため、30日・3食と仮定して割った値です。1年を365日×39円にすると14,235円になり、12か月×1,170円の14,040円とは合いません。この記事の1年は、公表の1か月を12倍した側です。

この1,170円を、前の「水1Lで月約100円」と足したり、差し引いたりはできません。1,170円は朝昼夕のメニュー全体、100円は湯を1日1回沸かすだけの別計算です。同じメニューをガスコンロで作ったm3は、確認した資料にありませんでした。湯沸かしの熱効率の比で1,170円分をガス代に置き換えると、炒め物や煮込みでは実態とずれるため、その換算はしていません。

パナソニックは、3.2kWの例で、水温20℃の水1Lが約2分12秒で90℃になると実測しています(直径21cm、定格4Lのステンレス多層鍋)。90℃までの時間で、消費電力量は公表されていないため、この2分12秒からは電気代を計算していません。

単価を読み替える

金額は「使用量×単価」です。電気の読み替えは暖房器具の電気代の比べ方と同じ考え方です。

  • IHで水1L(90%の仮定):0.107162kWh×契約の円/kWh
  • 都市ガス(50%の仮定):0.015442m3×契約の円/m3
  • LPガス(50%の仮定):0.006917m3×契約の円/m3
  • ガスを56.3%にする場合:都市ガス0.013714m3、LPガス0.006143m3

基本料金は、使用量に比例する部分だけを見るときは掛けません。契約をやめるかどうかは、基本料金と給湯の料金を別にしてから判断します。

東京電力は、鍋底の水滴を拭く、蓋をする、沸騰後は火を止めて余熱で置く、といった使い方を挙げています。いずれも「電力が減る」という説明で、減らすkWhの測定値は同記事にありません。円の節約額にはしていません。

よくある質問

Q. IHとガスコンロは、調理の光熱費ではどちらが安いですか?

水1Lを83℃上げる試算では、2026年10月検針の都市ガス従量料金(B表・熱効率50%)が1回約2.4円、IH(31円/kWh・熱効率90%)が約3.3円です。1日1回・365日だと差は約332円です。LPガスを、2026年9月30日の関東の10m3と20m3の価格差から701.9円/m3とすると、1回約4.9円で、IHのほうが1年約559円小さくなります。基本料金と、朝昼夕のメニュー全体は別です。

Q. 4人家族がIHで朝昼夕を作ると、電気代は月いくらですか?

パナソニックと東京電力が日本電機工業会の調べとして紹介している金額は、1か月約1,170円(31円/kWh)です。12倍すると年14,040円、電力量は約37.74kWhです。同じ献立のガス代は、確認した資料にはありませんでした。

Q. 水1Lの月約100円と、1,170円は足せますか?

足せません。約100円は、水1Lを1日1回・30日沸かしただけの試算です。1,170円は、4人世帯の朝昼夕の標準メニューとして公表されている別の数字です。

Q. 契約の単価が31円や156円でなくても使えますか?

使えます。IHは0.107162kWh、都市ガス(熱効率50%の仮定)は0.015442m3に、自分の従量単価を掛けます。熱効率を56.3%にする場合の都市ガスは0.013714m3です。基本料金や、時間帯で変わる単価は表に入っていません。

出典(2026年10月27日確認)

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の商品・サービスの契約を勧めるものではありません。料金やプラン内容は変更されることがあります。記載は上記の「公式情報の確認日」時点のものです。契約前に必ず各公式サイトで最新の情報をご確認ください。